上司に秘密を握られちゃいました。
ひとりで食事を作る気にもなれなくて、公孝さんが連れて行ってくれたリアンに向かった。
「いらっしゃいませ」
相変わらずにぎわっている店内で、ひときわ大きな人を見つけた。
早乙女様だ。
「あら、藍ちゃん」
すぐに私を見つけた早乙女様は、「こっちにいらっしゃいよ」と誘ってくれた。
でも……。
公孝さんのことにあまり触れられたくない私は、一瞬ためらう。
「あら、断るっていうの?」
「いえ……」
結局迫力に負け、早乙女様の向かいに座った。
「食べやしないわよ。どうせ公孝君が食べてるんでしょ?」
「えっと……」
相変わらずのズバズハとした物言いに、タジタジになる。
「あら、真っ赤になって。ウブねぇ」
からかっているのか本気なのか、早乙女様はパクパクと豪快にドリアを口に運ぶ。