上司に秘密を握られちゃいました。
「この間、東郷に行ったとき、あの女見ちゃったのよね。
ほんと、公孝君もひどい女に引っかかったもんよ。
女の趣味最悪と思ってたけど、次の彼女が藍ちゃんでよかったわ」
早乙女様も佳乃さんを知っているんだ。
もしかしたら、ここにも連れてきていたのかも。
でも、本当に私でよかったのかな……。
「あの子、小さい頃からチヤホヤされて育ったんだろうけど、勘違いが多いのよ。
自分中心っていうの? 自分の意見がすべてで、他は間違ってるみたいなね」
なるほど……。鋭い分析だ。
「ドリアお待たせしました」
その時、マスターが湯気がモクモクと立ち上るドリアを持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「熱いわよ」
早乙女様は私にそう忠告すると、自分のドリアをすぐに完食した。