上司に秘密を握られちゃいました。
「私、負けたくないんです。
公孝さんを佳乃さんに渡したくない」
さっきまで泣きたいほど沈んでいたのに、自分の気持ちがはっきりと見えた。
「私、佳乃さんみたいにきれいじゃないし、自慢できるようなこともありません。
それでも、公孝さんのことを好きな気持ちは負けません」
こんなところで愛の告白。
だけど、公孝さんに私の気持ちを知ってもらいたい。
「藍華……ありがとう。俺も、藍華を離すつもりはない」
「……はい」
大切なのは、私たちふたりの気持ち。
佳乃さんがど思おうが、私たちの間に隙間さえなければ、きっと入り込むことなんてできない。
彼女はそれがわかっているから、私に揺さぶりをかけるのだ。
公孝さんと付き合うことをためらうように。
「公孝さん、お腹すいたでしょう? 食べてください」
「ありがとう」