上司に秘密を握られちゃいました。

彼は心配げな顔をしながらも、シーフードドリアを食べ始めた。
猫舌なのか「あつっ」と格闘しているのが少しおかしい。


「ひとつ、お願いしたいことが」

「うん。なんでも言って?」


彼はフォークを置いて耳を傾けてくれる。


「私、公孝さんを待っていたいです。
ここみたいにおいしくは作れないですけど、料理を作って公孝さんの帰りを待っているのって、なんというか幸せで……」


言ってしまった。
もしかしたら遠慮しているわけではなくて、迷惑かもしれないのに。

彼だって疲れている。
ひとりになりたいのかもしれない。
でも……。


「藍華……いい、のか?」

「もちろんです。どうしても大変な時は、遠慮なくできませんと言います」


心配したのも束の間。
彼が満面の笑みを浮かべるから、ホッとした。
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