上司に秘密を握られちゃいました。

本当は彼の仕事を手伝えればいいのだけど……彼にしかできない仕事がたくさんありすぎる。
売り場の指示は私ではできないし、企画を立ち上げるのも、まだ難しい。

それなら、裏で彼を支えたい。


「藍華、一緒に住もうか」

「えっ?」


話しが思わぬ方向に進んだ。


「ホントは鍵を渡した時から、ずっとそう思ってた。
だけど、俺は帰りが遅いし、それに付き合わせるのは申し訳ないと思って、言えないでいた」


そう、だったの?


「うれしいです」


即答だった。
一緒にいられれば、不安な気持ちも払拭できる。

「おはよう」「おやすみ」と言えるだけで、きっと……幸せ。


「それじゃあ決まりだ」


彼はうれしそうに微笑んだ。


「でも……私が本部を離れてからにしませんか?」


もしも同棲がバレたりしたら、私が異動するだけではすまなくなる気がする。
< 331 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop