上司に秘密を握られちゃいました。

それを公孝さんにも伝えたら、応援すると言ってくれた。
本当は、すごく心配しているだろうけど。


佳乃さんはあれから姿を現さない。
嵐の前の静けさ、のようで不気味でもあったけど、あきらめてくれたと信じたい。


「それでは、着ていただく制服を一旦お渡しします。
リハーサルをしますから、指示に従ってください」


ファッションショーの日程は、ゴールデンウィーク中の日曜日に決定した。

客も多いその日に、一階の広場で行われるショーには、かなりたくさん人が集まると予想されている。


本部の人間として、公孝さんとともに指示を出しながら、自分も制服を手にした。
あの憧れの赤いジャケットだ。

他に希望者がおらず、あっさり決まって拍子抜けした。
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