上司に秘密を握られちゃいました。
当初、一部モデルを入れることも検討した。
だけど、五十年は社員とお客様が作ってきた。
その歩みを振り返るという意味でも、素人だけでやろうと決めた。
右から五番目の登場が私。
段取りを知っている私は、舞台幕代わりのパーテーションの裏での指示出し係も兼任しなければならない。
「真ん中までは真っ直ぐに進んでください。
ふたりそろってから、ランウェイへ。
ランウェイでは胸を張って堂々とお願いします」
そして……ついに私の出番。
「はい、五番目どうぞ」
公孝さんの合図で、歩き出す。
「そのテンポでOK」
モデルの歩き方なんて、当然知らない。
でも、素人は素人らしく、胸を張って歩こう。
真ん中まで歩くと、右から歩いてくる人を待って、その人が到着したら、短いけれど用意されたランウェイをふたりで歩く。