上司に秘密を握られちゃいました。
「はい。頑張りますね」
実ににこやかな笑顔で返事をした彼女だけど、私を見つけるやいなや、表情を硬くして出て行った。
そして、その日……。
本部に帰ると、部長に会議室に呼ばれた。
「リハはうまくいった?」
部長は向かいの席を私に勧めながら、自分も座り腕を組んだ。
「はい。ぎこちないところもありますが、それが社員だけの力で作り上げたという証明でもありますし、お客様にも十分満足いただけるはずだと」
「そう。当日を楽しみにしてるよ」
部長は笑顔を見せたけど、すぐに険しい顔に変わる。
「西里君、異動の話がある」
「……はい」
来るべき時が来た。
おそらく新入社員の配属が、そろそろ決まったのだろう。
それに伴い、私も異動になる。