上司に秘密を握られちゃいました。

「真山と、付き合っているんだって？」


まさか、部長に知られているなんて、驚きで声も出ない。
だけど、嘘はつけなくて、小さく頷いた。


「実は、真山に相談を受けていた」

「真山さんに？」


副社長経由で、私と公孝さんの件を知ったのだとばかり思っていたのに、そうではないらしい。


「副社長が君たちのことを知って、西里君を移動させようとしている。
だけど、西里君を本部に残せないかと。
本部に西里君を私的な感情で引っ張ったわけではないと、何度もね」


そんな素振り、まったくなかったのに。


「西里君の仕事ぶりを見ていて、真山の言っていることは本当だと思っている」

「ありがとうございます」


公孝さんほど、役に立てなかったかもしれない。
だけど、懸命にやってきた仕事を認めてもらえたのがうれしかった。