上司に秘密を握られちゃいました。
「真山も同じ答えをしたよ。
いい加減な気持ちではない。だから簡単に別れるという選択はできないとね」
ふと表情を緩めた部長は、「若いもんがうらやましい」とつぶやくから、耳が熱い。
「実は、大阪という話があった」
「大阪……」
まさか。
本店内での異動しか想定していなかった私は、激しく動揺して、頭が真っ白になる。
「だが、それは突っぱねた。
できればこれからも本部に知恵を貸してもらいたいし、そんなことになったら、真山まで辞めそうだしな」
苦笑する部長の言葉にホッとして、気が抜けた。
「それで君の履歴書を見たら、受付希望とあるのを見つけて……受付におさまりそうだ」
一瞬、呼吸が止まりそうだった。
夢が、叶うの?
「ショーの企画が終わったら、正式に発表する。なにもできなくて、申し訳ない」
「いえっ! ありがとうございます」