上司に秘密を握られちゃいました。

なにもできないどころか、最高の結果だった。
大阪行きを阻止してくれただけでなく、受付なんて。

本部の仕事に未練がないとは言い難い。
もっと公孝さんの下で、いろんなことを学びたい。
でも、それと同じくらい受付は魅力的だった。


「ありがとうございます。部長にまでご迷惑をおかけしました。
残りの時間は、少しでも恩返しできるように、全力で頑張ります」


立ちあがって深々と頭を下げると、部長は「よろしく」と私の肩をポンと叩いて出て行った。


本部に帰っても、公孝さんはいなかった。
少しでも話ができればと思ったけれど、企画会議に行ってしまったようだ。


異動が決まったとはいえ、私の気持ちは晴れやかだった。

部長が盾になって守ってくれ、公孝さんも……私のために頭を下げてくれた。
そしてなにより……彼の気持ちを確認できて、幸せだった。

結局会議が長引いて、彼とは就業時間まで会えなかった。
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