上司に秘密を握られちゃいました。
「おかえりなさい」
やっと会えたのは、彼の家。
最近は、公孝さんの家で彼を迎えることが増えた。
「ただいま、藍華」
「公孝さん!」
彼がまだ靴を脱いでいるというのに、待てない。
「どうした?」
「私……受付に行きます」
彼はキョトンとして私を見つめる。
「部長から聞きました。公孝さん、私のために……」
「決まったの、か?」
「はい。大阪という話があったそうですが、部長が阻止してくださいました」
公孝さんは『大阪』と聞いたからか、顔をゆがめる。
「大丈夫です。言ったじゃないですか。受付は憧れなんです。だから……」
「藍華」
靴を脱いだ彼は、一段上がり、私を抱き寄せる。
「俺のせいで……」
「違います。それなら私のせいです。
私、公孝さんとは別れられそうにありません。ん……」
突然奪われた唇は、ドンドン熱を帯びてくる。
ジャケットを握りしめ必死に応えていると、彼は私の腰を砕けそうなほど強く抱きしめた。