上司に秘密を握られちゃいました。

「俺も、だ」


彼に抱き寄せられながら、温もりを貪る。


「だけど、藍華ばかり……」

「なに、が?」


彼から少し離れて首を傾げると、「藍華ばかり辛い思いをしてる」と苦しげな顔をする。

それは、佳乃さんの嫌がらせのことも言っているのだろう。
だけど……。


「もしそうだとしても……公孝さんが癒してくれればいいじゃないですか」

「藍華……」

「それに、受付に行けるのは、本当にうれしいんですよ? 
公孝さんだって、知っているでしょう?」


受付に行けるというか、制服を着られるというか……。

彼は私の額に額をあてた。
甘い吐息がかかって、ドキドキする。


「受付、だぞ?」


受付には佳乃さんの息のかかった亀井さんがいるけれど、そのために小さい頃からの夢を捨てるなんて、ばかげている。


「大丈夫ですよ。私には公孝さんがいるもの」


そして再び唇が重なった。
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