上司に秘密を握られちゃいました。

あぁ。
【趣味、コスプレ】が完全にバレる。

だって、前に公園で見られた一着だけではなかったのだから。
でも、この際仕方ない。


「私が作ったものです。
完璧ではありませんが、それなりに見えると思います」

『そっか。わかった。頼んだよ』


電話越しに、公孝さんを呼ぶ声がする。
難しいことはあと。
とにかく、この制服と共にショーの開始までに到着しなければ。


ショーの前に美容部員にメイクもしてもらうはずだった。
でも、間に合わないだろう。

バッグの中から化粧ポーチを取り出し、簡単にファンデーションをはたく。
残念だけど、このまま出るしか、ない。

東郷が見えてきてホッとしたのもつかの間、近くの交差点が渋滞でタクシーは停まってしまった。
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