上司に秘密を握られちゃいました。
第2章
デパートへの愛
デパートの仕事に休む暇はない。
クリスマス商戦が終わると、すぐに年末年始の準備が始まる。
正月前は、おせちの販売や食品売り場が人でごった返す。
美晴はおせちの配送手配係として働き始め、私は福袋の袋詰めに従事することになった。
今日、任せられたのはアクセサリーだ。
「西里さん、あとこれが五十と、こっちが三十」
「わかりました」
決められた品々を袋に詰めていく作業は、単純だけどかなり骨の折れる仕事だ。
「あの、ここにリボンつけてもいいですか?」
アクセサリーを入れた紙袋は、シンプルすぎて、お正月にしては寂しい。
本来は派遣が考えるようなことではない。
私たちは、言われたことだけしていればいい。
だけど、大好きな東郷百貨店に少しでも貢献したい。