上司に秘密を握られちゃいました。

「そうだね。西里君、本当にお疲れ様。
本部に来たばかりの君が、こんなに活躍してくれるとは……うれしい誤算だ」


それでも、お褒めの言葉はありがたくいただいておこう。
私も全力を尽くしたと、胸を張って言える。


「皆様のお力添えのおかげです。ありがとうございました」


泣きそうだった。
憧れの東郷百貨店の正社員になれ、おまけに大好きな制服に係わる仕事に携わることができ……こんなに幸せなことはない。


再び盛大な拍手が起こる。
やっぱり東郷が大好きだ。


「だけど……残念なお知らせだ」


部長が「はーっ」と溜息をつくと、部内が一瞬静まった。


「西里君は、今月末で受付に異動になる」

「えっ!」


大きな声をあげたのは中津さんだった。
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