上司に秘密を握られちゃいました。

また拍手が起こる。
私の隣の公孝さんも、ひときわ大きな拍手をくれた。


その日は、公孝さんも私も、早めに帰してもらえた。
ショーで一日中神経をすり減らし、走り回ったせいでヘトヘトだった。

公孝さんより一足早く会社を出ると、すぐにメールが入った。


【藍華の部屋に行くよ】


えぇっ!

まさか本気で……私のコスプレコレクションを見ようとしているの?


片手に持つ東郷の紙袋の中には、あの赤いジャケットが入っている。
これを家から持ってきたことを知っている彼に、言い逃れできそうにない。


あぁぁ、でもこれ一枚だけということにはできないかしら?

家にたどり着くまで、あれこれ逃れる術を考えたけど、いい案が思いつかなかった。
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