上司に秘密を握られちゃいました。
突然のプロポーズ
――ピンポン
家に着いてクローゼットの制服を眺めて悩んでいると、チャイムが鳴る。
もう、着いちゃったの?
ドアホンで確認すると、やっぱり公孝さんだった。
クローゼットを慌てて閉め、玄関を開ける。
「ただいま、藍華」
「おかえりなさい」
まるで新婚のような会話は、なかなか照れる。
それでも、幸せを感じるひとときには違いない。
彼は靴を脱ぐと、私を引き寄せ、キスをする。
「疲れが吹っ飛んだ」
「イヤだ……」
ニッコリ笑う彼は、私を抱きしめ「終わったな」とつぶやく。
彼と一緒に手掛けたショーは、きっと一生忘れられない。
やっぱり寂しい。
本部の仕事は大変だったけど、達成感が他の売り場とはまるで違った。
それに……一番近くで公孝さんのきびきびとした働きぶりを見ていたら、ますます好きになった。