上司に秘密を握られちゃいました。
「何着ある?」
「多分……十は。いえ、十五、かな……」
夏服も冬服も、特に気に入ったものばかり揃えてある。
「すごいな、藍華。本物みたいだ」
その中の一枚を取り出した彼は、私にあててみる。
「もう、あんまり見ないでください」
彼の手からその制服を奪ってクローゼットにかけ直そうとすると、「着てみてよ」と恐ろしい発言が。
「い、いいですから」
「ダメ。俺の欲求も満たしてよ。そうだなぁ……」
『俺の欲求』って……。
なんだか目が輝き始めた公孝さんに圧倒されて、なにもできない。
「おぉ、これ。俺が入社した時の夏服だ」
それは、ボレロ丈の白いノーカラージャケットと紺のワンピース。
この時はパンプスが赤だった。
清楚な制服で、今回のショーには登場しなかったものの、人気が高かったと聞いている。