上司に秘密を握られちゃいました。

だけど、公孝さんが入社した時って……もしかして佳乃さんが着ていたとか?
一瞬、そんなことを考えて顔が険しくなる。

私がうつむくと、公孝さんもなにか感づいたようだ。


「藍華?」

「……はい」

「俺は過去には戻らない。今、こうして藍華と一緒にいられるのが幸せだ」


そんなことはわかってる。
だけど、女心は複雑なのよ!


「佳乃のことか?」


目が泳ぐ。
「はい」と言ったら、度量の狭い女だと思われそうで。


「佳乃は、俺よりふたつ下。この制服は着てないよ。それに……」


それに、なに?

言葉を濁した彼を見上げると、口角を少しあげ微笑んだ。


「制服を脱がせたいなんて、藍華にしか言ったことない」


今度は少し意地悪な顔。
しかも、爆弾発言だった。
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