上司に秘密を握られちゃいました。

ひとりで顔を赤らめながら、もう一度制服を眺める。

だけど……それと同時に、脱がされたいとちょっぴり思っている自分に驚く。

きっともう、佳乃さんはなにもしてこないと思う。
『嫌いになりたくない』という公孝さんの言葉に、激しく動揺していたから。

だけどやっぱり……彼は私のものだという証がもっとほしい。


「着た?」

「……いえ、まだ……」

「着せてやろうか?」

「いえっ!」


本当に入ってきてしまいそうな公孝さんの声に、慌てて着ていた服を脱ぎだす。

どうしよう。
心臓がドクンドクンと激しく打ち始めたのが自分でもわかる。

紺のワンピースを着たところで、ドアが開いて彼が顔をのぞかせた。


「まだです!」


といっても、あとはジャケットを羽織るだけ。
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