上司に秘密を握られちゃいました。
しまった。
あなたに興味があって、美晴に聞きましたとは、とても言えない。
「いえ、名札で……」
「そっか。君の名前も聞いていい?」
「はい。西里藍華と言います」
まさか真山さんに自己紹介できるなんて、ちょっとドキドキだ。
だって、隣に座っているだけで胸がときめくようなカッコよさなのだ。
「派遣さんだね」
制服でないことで、派遣だとわかったのだろう。
「はい。紹介予定派遣で」
「おぉ、それは頑張って!」
真山さんは、机の上のリボンに手を伸ばした。
「私、やりますから!」
「同じ職場の人間が助け合うのは当たり前だって言ったでしょ?」
ニッコリ笑う真山さんは、スルスルとダブルリボンを作っている。
「ありがとうございます」
彼が少しも嫌な顔をしないので、素直に手伝ってもらうことにした。