上司に秘密を握られちゃいました。

「……はい」


ゆっくり重なった唇は、私に安心をもたらした。


次の日。
公孝さんの家に引っ越した。


私の部屋にしてくれた二階の南側の洋室は、段ボールでいっぱいになった。

備え付けのクローゼットに、今まで作ってきた制服を並べる。

ずっと隠しておかなければならないと思っていた制服を、こうして並べられることができるのが、ちょっぴり、いやすごくうれしい。

まさか、私の制服好きを理解してくれるとは思わなかった。

彼は、高校時代の敬子以来、初めての理解者だった。
といっても、他に誰にも告白してはいないのだけど。


「ただいま」

「おかえりなさい」


荷物がすべて片付け終わらないうちに、公孝さんは帰ってきた。


「いい匂いだ」

「ごめんなさい。片付けに夢中で、カレーなんです」
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