上司に秘密を握られちゃいました。

「あっ、焦げちゃう」


一瞬意識が別の世界に飛んでいた私は、オムレツを慌ててお皿に取り出した。
毎日こんなにドキドキさせられたら、心臓が持ちそうにない。


同棲して初めての朝食を向かい合って食べると、あっという間に出勤の時間がやって来た。
今日は同じ時間のシフトなので、一緒に出ることにした。


「行ってきますのキスは?」

「ええっ?」

からかわれているのかと思ったら、本気だったようで、体をかがめた彼は触れるだけのキスをする。


「もう……」


怒ったふりをしながらも、ホントはうれしい。
新婚のようで照れるけれど。

だけど、正式に婚約したことで、一緒に出勤することができるようになった。


「それじゃあ」

「はい」


社員玄関で彼と別れると、早速更衣室に向かった。
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