上司に秘密を握られちゃいました。
亀井さんは、受付にたどり着くまでに他にも色々と教えてくれる。
意地悪され辛いこともあったけど、もう忘れよう。
「皆さん、集まって。今日配属された、西里さんです」
亀井さんは、受付の人を集めて紹介してくれた。
そして……。
「彼女は東郷百貨店の受付の心構えを、もう知っているわ」
驚いたのは私だけではない。
他の人たちも、亀井さんが私に意地悪を仕掛けていたことを知っているはずだ。
それなのに……今、褒めてくれた?
足を引っ掛けられたとき『老若男女に至るまで、憧れるような存在でなければなりません』なんて偉そうなことを口走ったけど、もしかしてそれを覚えていてくれたのかな?
そんな気がした。
「皆も負けない様に。
本日も北海道物産展があります。
十時と十三時、あとは十五時に限定品が販売されます。
お客様から問い合わせがあると思いますので、常に売り場と連携をとってください」
「はい」