上司に秘密を握られちゃいました。

「交代します」

「お願いします」


互いに挨拶を交わして遅番の担当者と変わったころには、まるで燃え尽きてしまったかのような脱力感に襲われていた。


「お疲れ様。一日目にしては上出来よ」


商品名を出されて売り場を聞かれ、答えられないことはあったけれど、亀井さんが助けてくれた。


「ありがとうございます。でも、まだまだ勉強不足でした」

「そんなの当然よ。
私だってまだ全部の商品を把握できているわけじゃないわ。
常に新しいものが入ってくるから無理。
そんな時は、思い当たる売り場に確認すればいいの」


そうかもしれない。
全部ひとりでしなくても、他の人たちが助けてくれる。


「あとは、本部にすごい知識のある人がいるから……聞くといいわね」


本部?
それって……公孝さんのこと?
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