上司に秘密を握られちゃいました。

「私に?」

途端に目を潤ませる藍華が、かわいくてたまらない。
こんなことでそんなに喜んでくれるなら、なんでもしたくなる。


「気に入るかどうか……」

「気に入ったに決まってるじゃないですか!」


彼女は浴衣を手に取って、満面の笑み。


「よかった。着てみる?」

「でも私、どうやって着たらいいのか、わかりません」


そんなの俺に任せておけ。


「大丈夫。俺、わかるから」


まだ大阪に行く前、催事で浴衣フェアを手伝ったことがある。
その時、着付けは習ったし、実は俺も浴衣を持っている。


少し頬を赤らめながらうなずく彼女を立たせると、「脱いで」と実に大胆な発言を口にした。

試着だから、今着ているものの上から着せればいいけれど、それじゃつまらないだろう?
< 425 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop