上司に秘密を握られちゃいました。
「私に?」
途端に目を潤ませる藍華が、かわいくてたまらない。
こんなことでそんなに喜んでくれるなら、なんでもしたくなる。
「気に入るかどうか……」
「気に入ったに決まってるじゃないですか!」
彼女は浴衣を手に取って、満面の笑み。
「よかった。着てみる?」
「でも私、どうやって着たらいいのか、わかりません」
そんなの俺に任せておけ。
「大丈夫。俺、わかるから」
まだ大阪に行く前、催事で浴衣フェアを手伝ったことがある。
その時、着付けは習ったし、実は俺も浴衣を持っている。
少し頬を赤らめながらうなずく彼女を立たせると、「脱いで」と実に大胆な発言を口にした。
試着だから、今着ているものの上から着せればいいけれど、それじゃつまらないだろう?