上司に秘密を握られちゃいました。
頭をフル回転させて、制服への憧れ以外で話を組み立てようとするけれど、なかなかうまくいかない。
「制服もかわいいし、子供ながらに立ち居振る舞いの上品さに気がついて、あんな大人になりたいなと思ったのがきっかけで……」
真山さんは「うんうん」と相槌を打ちながら、耳を傾けてくれる。
結局、『制服もかわいい』と、ちょっとした告白をしてしまった。
「幼稚園の頃、迷子になって、受付の方に良くしていただいたんです。
それが決定打でした。就活には失敗してしまったのですが……」
真山さんは一瞬リボンを結ぶ手を止め、私の顔を見つめる。
「そんなに小さな頃からの夢だったのに、採用されなかったんですね。
どこでもいいからという人の方が多いのに、人事も惜しい人を逃しましたね」