上司に秘密を握られちゃいました。
「お祭り、本当に行けるんですか?」

「おぉ。絶対に早く帰ってくる」


残念ながら夏祭りは日曜日。
俺たちは当然仕事が入っている。

だけど、その日だけは、近藤に全部押し付けてでも、帰ってくる。
俺達は、どちらも仕事に時間を注いできた。
少しくらい許されるだろう。


「うれしい」


藍華にはきっと寂しい思いをさせている。
だから、祭りくらい、一緒にいたい。

そして、夏祭り当日。
祭りがあるせいか、東郷の客の中にもチラホラ浴衣姿のカップルがいて、早く帰りたいとソワソワしていた。


受付の藍華は、十八時上がりだと聞いている。
その時間に合わせて俺も……と思っていたのに、甘かった。



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