上司に秘密を握られちゃいました。
「公孝さん、なにをお願いしたんですか?」

「内緒だよ。藍華は?」


帰り道、彼女は空に輝く星を見上げながら、優しく微笑む。


「ずっと公孝さんと一緒にいられますようにって」


一瞬、言葉を失くした。
俺と同じ願い事だったから。


「それなら大丈夫だ。俺もそう願ったから」


そう言うと、彼女はすごくうれしそうに笑って、腕にギュッとつかまって来た。

幸せすぎて怖い。
藍華と出会ってから、笑顔になれることがグーンと増えた。

彼女は幸福の女神だった。


「金魚鉢、たしかここに……」


家に帰ると早速金魚鉢を出して、金魚を泳がせてやる。


「懐かしいな。子供の頃、いっぱい飼ってたぞ」


今日はたった一匹だけど、昔は十匹くらい泳いでいた。
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