上司に秘密を握られちゃいました。
まさか不採用だった私に、そんな言葉をかけてもらえるなんて驚いた。
「いえ、最終面接にすらいけませんでしたので、私の力不足です」
「いや、もう一度採用方法を見直した方がいいかもしれない。
東郷が好きで入ってきてくれる人の方が絶対に頑張ってくれるし、それにこんなにラッピングの技術もある」
真山さんは、私がリボンを結び終えた福袋を手にして、改めてそれを眺める。
「西里さんが、派遣でもいいから働きたいと思ってくれなければ、東郷百貨店の大切な戦力に気がつかないところでした」
きっと大げさに言ってくれたに違いない。
だけど、真山さんの言葉は、本当にうれしかった。
「ありがとうございます」
「実は、母はエレベーターガールだったんですよ」
「えっ!」
あの憧れのエレガ?
あまりに驚き大きな声が出た私は、慌てて口をつぐんだ。