上司に秘密を握られちゃいました。
恥ずかしすぎる。
落ち着きのない子供みたいで。
もっとオトナぶって見せたかったのに、大失敗だ。
「すみませんだなんて……。すごく楽しいですよ」
「ありがとう、ございます」
真山さんは優しい。
きっと呆れているだろうに、『楽しい』と言ってくれる。
昔から感情の上がり下がりが大きいのは自覚している。
なかなか直せるものではない。
「そういえば、夢の話をもっと聞きたいです」
『デパートで夢も買う』って、どういうことだろう。
「そうでした」
真山さんは水を一口飲むと、口を開いた。
「ひと昔前のデパートは、屋上に小さな遊園地なんかもありました。
子供にとっては、ちょっとおめかしして、遊びに連れて行ってもらうところだったんです」