上司に秘密を握られちゃいました。
「まぁ、毎日デパートで買い物できる富裕層は別として、一般的には、ちょっとした夢見心地を味わえる場所だったんです」
私は大きく頷いた。
納得の意見だ。
「だけど、最近は……」
真山さんは苦々しい顔をする。
「レジャーが多様化して、屋上の小さな遊び場は必要なくなった。
集客のために少し価格帯の安い商品も扱うようになった。
デパートの特別感が、どんどん薄れている気がして……」
真山さんは、本当にデパートが好きなんだと感じる。
「もちろん、価格の安い物を入れるのが悪いという訳ではありません。
小売業で生き残っていくためには、ニーズに応えることも必要です。
だけど、それと共にサービスの心も安くなってはいけないと思うんです」