上司に秘密を握られちゃいました。

「でも……」

「僕が誘ったんだし、西里さんと話せて、とても楽しかったから」


そう言われると、照れくさくて頬が赤らむ。


「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて」


店を出ると駅に向かう。
偶然にも同じ路線で、彼の方が二駅先の様だ。


「遅くまで引き留めてごめんね」

「いえ、とんでもない」


なんなら、もっと引き留めてくれたっていい。

デパートについて、こんなに熱く語れる人がいるなんて、うれしくてテンションが上がりっぱなしだ。
こういうのを、"意気投合する"というのかもしれない。


「今日は本当にありがとうございました。それでは……」


最寄りの駅が近づいて挨拶をすると「送るよ」と言われて驚く。


「いえいえ、そんな大丈夫です」

「こんな時間に女の子ひとりで帰すなんて、なにかあったら大変だ」

「いえ、でも……」
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