上司に秘密を握られちゃいました。
「……はい」
余計な提案かもしれないと心配したけれど、真山さんの迷いのない様子を見て、自信が持てた。
福袋の作業は、就業時間まで続いた。
もちろん営業しているわけだから、準備に係わることができる人数は限られている。
それでも、間に合う目途はついた。
「お疲れ様でした」
社員がひとりふたりと帰っていく。
キリのいいところまで終わった私も、帰る準備を始めた。
だけど……『ひとりでも』と言っていた真山さんのことが気になる。
造花は手に入っただろうか。
どこだろう。
それから真山さんを探し始めた。
こうした作業をするときは、使っていない会議室などを使用する。
そのうちのいくつかに行ってみたけれど、鍵が閉められている。
最後に一番小さい会議室に向かうと、電気が灯っているのがわかった。