上司に秘密を握られちゃいました。
ドアの近くまで行っても、会議をしているという様子はない。
「失礼します」
そっとドアを開けて顔をのぞかせると、予想通り、真山さんがいた。
「西里さん! ありがとう。シルクフラワーが手に入ったよ」
彼の手には、小さな梅の花が二輪ついた造花。
「わーかわいい」
たった二輪だけなのに、途端にお正月気分になれる。
真山さんはそれをゴールドのシールで重箱に貼っていた。
「手伝います」
「いや、もう終わったんでしょ?」
「はい。でも、やりたいんです」
時給はつかなくても、派遣でも……私だって東郷の一員だ。
「ごめん。すごく助かる。やっぱり皆忙しくてね」
バッグを置くと、真山さんの向かいに座った。
「それじゃあ、お願いしてもいい?」
「はい」