上司に秘密を握られちゃいました。
恐る恐るの提案だったけど、こうして自分のアイデアが形になると感激だ。
「あと六百。この調子なら、間に合いそうだ」
「明日もお手伝いします」
「いや、それは悪いよ」
「やらせてください」
やりたいのだ。
年末はいつもより多めのバイトが入っているものの、福袋の方に借り出されている。
おそらく真山さんはまた自分でやるつもりだ。
「ありがとう。助かる」
真山さんはにっこり笑った。
片づけをして一緒に会社を出るころには、時計は二十一時を指していた。
「残業させてごめん。しかも西里さんの業務外の仕事なのに」
「いえ、気にしないでください。
お客様が喜んでくださる顔が浮かんで、ワクワクします」
吐く息が白い。今日は特に冷える。
「西里さん、必ず社員になってください」
「そうなるといいのですが」