上司に秘密を握られちゃいました。

華やかな世界だ。
やりたかった、な。

だけど仕方がない。
私たちには私たちの仕事がある。
おそらくワゴンの補充だろうけど。


「さ、帰ろ。明日が終わればお休みよ」


東郷百貨店は、毎年一月二日がお休みだ。

だから一日の初売りは、かなりの客の来店が見込まれている。



次の朝出勤すると、艶やかな振袖姿の受付嬢が、もうすでにスタンバイしていた。

仕事とはいえ、なかなか着る機会のない着物を着ることができるのは、コスプレ好きとしてはうらやましい。

私と美晴は、予想通り催事場の福袋売り場に配置された。


「さぁ、戦いが始まるわよ」

「戦いなんて、大げさだよ」


気合を入れている美晴のことを笑ったけれど、開店するとすぐに美晴の言葉は現実となった。
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