上司に秘密を握られちゃいました。
山のようにあったはずの福袋は、あっという間になくなっていった。
私がリボンを付けたアクセサリーの福袋が、かなり早く完売して、ひとりでほくそ笑む。
もちろん、中身のおかげなのはわかっている。
だけど、苦労が報われた気がした。
「派遣の人で誰か……。あっ、西里さん、こっち」
真山さんが突然やってきて、私を呼ぶ。
「はい。なにか?」
「ちょっと頼みたいことがあるんだ。西里さん、子供は好き?」
「……はい」
いきなりなんだろう。
「迷子の数がすごくて、さばききれない。
各売り場で対処していると、迷子の世話に多数の社員が持っていかれる。
だから一カ所に集めて対処することになったんだけど、社員はレジもあるし……お願いできないかな」
「わかりました」
迷子の相手をしろ、ということだ。