上司に秘密を握られちゃいました。

山のようにあったはずの福袋は、あっという間になくなっていった。

私がリボンを付けたアクセサリーの福袋が、かなり早く完売して、ひとりでほくそ笑む。

もちろん、中身のおかげなのはわかっている。
だけど、苦労が報われた気がした。


「派遣の人で誰か……。あっ、西里さん、こっち」


真山さんが突然やってきて、私を呼ぶ。


「はい。なにか?」

「ちょっと頼みたいことがあるんだ。西里さん、子供は好き?」

「……はい」


いきなりなんだろう。


「迷子の数がすごくて、さばききれない。
各売り場で対処していると、迷子の世話に多数の社員が持っていかれる。
だから一カ所に集めて対処することになったんだけど、社員はレジもあるし……お願いできないかな」

「わかりました」


迷子の相手をしろ、ということだ。
< 87 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop