上司に秘密を握られちゃいました。
迷子センターのような場所を置くデパートもあるけれど、東郷は基本売り場で対処している。
「すみません、ひとり借ります」
「はい」
フロアの責任者に承諾を取った真山さんは、私を連れて走り出した。
「とりあえず、おもちゃ売り場にふたりいる。
あとは、本館二階と別館三階にもひとりずつ。
申し訳ないけど、大至急」
「はい」
真山さんと各売り場に走り、迷子を預かる。
「大丈夫だぞ。お母さん来るまで、このお姉さんが一緒にいてくれるからね」
真山さんは泣いている男の子に、優しく優しく話しかける。
おもちゃ売り場では、アナウンスを何度しても、一向に迎えに来てもらえないという子もいた。
「八階の会議室が空いている。
まだ他にも迷子がいるから、回収しながら向かう。
この子たちをお願いできる?」
「わかりました」