上司に秘密を握られちゃいました。
「実は、これ」
真山さんは、持っていた東郷の紙袋を私に差し出した。
「これは?」
紙袋の中をのぞいて気が付いた。
「デザート重?」
真山さんと一緒につけた梅の花が見える。
「そう。西里さんのおかげで、お客様の反応も上々なんだ。
僕もサンプルとしてひとつもらったんだけど、実は甘いものが得意じゃなくて、これは西里さんに」
彼は照れくさそうに笑みを浮かべる。
このためにわざわざ?
「ありがとう、ございます」
すごく気になっていた商品が、こうして手に入るなんて思ってもいなかった。
美晴が、今年は売れすぎて社員も買えないと言っていたのに。
「西里さん、実家に帰省する?」
「いえ、お休みは明日だけですので、ひとりでのんびりです」