上司に秘密を握られちゃいました。
「じゃあ、十一時頃迎えに来るよ。今日はゆっくり休んで」
「ありがとうございます。真山さん、お疲れ様でした」
「お疲れ様、お休み」
真山さんの後姿を見送っていると、振り向いて手を振ってくれた。
本当に、素敵な人だ。
「上がってお茶でも……」と言いたかったけど、さすがにそこまではできなかった。
こうして家まで訪ねてくれただけで、心臓の高鳴りが抑えられない。
部屋に帰ると、デザート重をテーブルに置いて眺める。
私の提案した梅の花がアクセントになっていて、大変だったけれど頑張ってよかったと思う。
記念にスマホで写真を撮ったあと、ちょっと緊張しながらリボンをほどく。
「うわ、ホントに豪華だ」
重箱に溢れそうなくらいに詰められた焼き菓子は、どれも地下のデザート売り場の主力商品だ。