従順なペットは愛を囁く
わたしのペット
「あの……、具合が悪いんですか?」
丁寧なようでいて、けれどもぶっきらぼうな声に顔をあげると、エプロン姿の男の人が困ったように立っていた。
「ず、ずびばぜん。ぢがいます!」
ぐちゃぐちゃで、ずびずび状態の私は、立ち上がり周りをきょろきょろと見回した。
歩道のど真ん中でしゃがみこんでいたらしい。
「……タオル貸しましょうか?」
「え?」
長身のシルエットが私を覗き込んで、少し屈んだようになる。
柔らかく微笑む表情に少し安心する。
「は……い」
少し重めの木でできたドアを押すと、リンリンと音がする。見覚えも、聞き覚えもある。
CAFÉ la vie
入り口のドアノブには「CLOSE」書かれた板が掛かっていた。