従順なペットは愛を囁く
「で、逃げて来た、と」
甘いカフェオレをすすりながら、頷く。
「で、やっちゃったの?」
「何を?」
「エッチ」
「……やってない、と思う」
「ふーん」
日向真澄(ひなたますみ)が、つまらなそうにマグカップに口をつけた。
彼の部屋(らしきところ)から出た後、私はまっすぐ日向の家にやってきたのだ。
日向は専門学校時代の同級生で、卒業して6年たった今でもよく遊ぶ友達だ。
学生時代の友達の環境は目まぐるしく、2,3年はやりとりが多かったが、4,5年となるにしたがって、何かが変わりだす。
子供が大人になる、みたいな変化ではないのだけれど、とりまく環境が変わったり、立ち位置が変わったり。
家族が増えたり。