平安絵巻
『中宮、お久しぶりですね。』
『はい…』
どう話せばよいか分からない。
所々、沈黙が続く。
『あの……、近頃どうお過ごしですか?』
恐る恐る帝に聞く。
『特に、変わってはいません。中宮は?』
『ほとんど、庭にいます。』
『そうですか…』
そして、自分の部屋に戻った。
『入ってもいい?』
松の君だった。
『最近、兄上様と会っていないとか。』
『仕方のないことです。仕方のないこ と……。』
『仕方のないことばかり、言っていると本 当に兄上様が離れていってしまいます よ!』
『どうやら、雪の君様は、ご懐妊されたと か。』
『なぜ、それを知っているの?中宮』
『さっき、慌ただしく女房達が走って行きま した。』
『でも…
いくらなんでも、1ヶ月もお会い出来な いなんて。』
『私には、関係ありませんから…。』
次第に、鶴の君は痩せ細っていった。
ついに、寝込んでしまった。