平安絵巻
ふと、目を覚ますと帝のお顔が見えた。
『中宮、大丈夫ですか?』
『あの…、ご公務は…?』
『少し、休みます。』
『そのような…』
『私も、休みたいのです。』
久しぶりに、長い時間、帝と居ることが出来た。
気づけば、帝は隣で寝ていらっしゃった。
布団を帝に掛けると、鶴の君は庭に向かった。
日差しが眩しい。
久しぶりに、庭を歩く。
『もう、春かぁ…』
あらから、月日が経ったのだと言うことが分かる。
桜…
今にも、咲きそうな蕾は、淡い桃色をしていた。