平安絵巻
やっと、ひとりになれた。
庭を少し歩いた所に池がある。
嫁入りになんてしたくないなぁ
しばらく池をのぞいていた。
あれ? 誰だろう…
見たことないなぁ…
一人の男の人がこっちに来る。
『あの、どなたでしょうか?』
鶴の君は、勇気を持って聞いてみる
『ご挨拶もなしに失礼しました。』
身長が高く、鼻筋か通っている人だった。
『いえ、今日はなぜここに?』
『左大臣様のはからいで、庭を見させて頂 いております。』
『そうなのですか…
あ、ごゆるりとご覧下さい。』
『はい。では、失礼いたします。』
なんて、名前なんだろう。
その男の人の後ろ姿が見えなくなった頃
『おお!!鶴の君!!』
『父上様!
どうなされたのですか?』
『あの、男、なかなかいいだろう!!』
『えぇ、確かに。
でも、それが?』
『そなたの、婿候補だ!』
『そうなのですか!
お名前はなんと言うのです?』
『雅博殿だ!
由緒ある源(みなもとのとおる)家だ そ!』
『雅博様…』
『まぁ、決まったら報告する』
左大臣は陽気に歩いて行った。