[完]*゚好き好き男子は手に負えない。
なんだか安心して、その手をギュッと握りしめる。



瞬間に離れた手は、私の体を優しく包みこんだ。



ん……そういえば、さっきの手。



私は一度、触れたことがあった気がした。



私はまだ見えないその人を抱きしめ返すと、小さな声で呟いた。



「……榊くん?」



「なに、紗倉?」



返ってきたその言葉は、わざとらしく耳元に囁かれた。
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