[完]*゚好き好き男子は手に負えない。
「あ、あんなの……っ」



その震える声に、俺は危うく角から紗倉の元に飛び出しそうになる。



でも、ダメだ。



慌てて足を押さえつけて、自分を落ち着かせた。



聞くのが、怖い。



紗倉の口から放たれようとしている、その先の言葉を。



もし耳を塞げたら、ここから走り去れたら、どれだけいいだろう。



それでも、俺の手足は動かなかったんだ。



まるで、紗倉の言葉を聞くことが俺の為だと言っているかのようで。
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