だめだ、これが恋というのなら
夢の国でも
~♪~♪~♪~
けたたましく鳴り響く携帯の着信音に俺は布団から手を伸ばし、携帯を取る。
相手を確認しないまま、俺は着信に出た。
『もしもし、俺だけど』
電話の相手は浩二だったらしい。
『…なんだよ…』
ふとベッドに置かれている時計に目をやる、時計の針は朝の六時と俺に伝える。
『…てか、まだ六時じゃん…まだ俺寝る』
俺がそう答えるも、浩二は慌てた様子で、
『おい、ちょっと寝んなよ!!』
そう、電話越しで叫ぶ。
『…なんだよ』
俺は朝早くに起こされた事実もそうだけど、人に無理矢理起こされることが苦手。
段々浩二が相手とは言えイライラが募る。
『この間言ってた、遊園地、今日行くぞ!』
『えぇ、どうぞ、楽しんできてください』
俺がそう言うと、浩二は電話越しに笑う。
『何言ってんだよ、お前、車出す係だから』
浩二の言葉に俺はイライラが最高に達した。
『ふざんけんな、俺は今日は一日寝るんだよ!!』
そう言って通話を切ろうとしたとき、
『あれれ、昨日誰かさん、講義出ないで帰りましたよね?
いくらもう卒業とはいえ、お前確か単位ギリギリだったよな?
俺が名前を書いてやったから出席扱いになってるけど…』
浩二はそう電話越しで、まるで勝ち誇ったように言ってきた。
『…あーぁ…分かったよ!』
俺の返事を聞いて、集合時間、集合場所を俺に伝えると、浩二は一方的に通話を切った。
『…なんなんだよ…面倒くせーなぁ…』
俺はそう言いながらもベッドから立ち上がり、クローゼットから適当に服を選び、それに着替えた。
軽く髪を整え、テーブルにあるパンを一口食べ、そして車のキーを取り、部屋を出た。
『なんで俺が運転なんだよ…』
バイトして、必死に貯めたお金で先月納車したばかりの新車。
まだピカピカで、そして新車特有の匂いが車内に溢れている。
俺は集合場所に向かって、運転を始めた。